9月7日(日)の日経新聞の朝刊にこんなタイトルの記事がありました。
すべての法人事業所と従業員5人以上の個人事業所は厚生年金への加入義務があります。実際に厚生年金に加入しているのは約171万事業所であるとのこと。
そして、社会保険庁が雇用保険のデータをもとに調査したところ、約10万事業所が厚生年金に未加入であることが判明したようです。
しかし、この約10万事業所も全体からみればなお一部にすぎない、とも書かれています。
質問:一体加入義務がある事業所はいくつなのでしょうか???
答え:不明
記事に書かれていないので、各省庁の統計資料をもとに私なりに調べてみました。
非1次産業の事業所合計:約570万、企業数合計:約421万、会社数合計は約150万(総務省「事業所・企業統計調査」2006)
事業所合計には5人未満の個人事業所も含まれ、企業数には事業所(支店や営業所)は含まれず5人未満の個人事業者は含まれ、会社には事業所も個人事業者も含まれません。
法務局登記会社数:約279万社 (法務省「民事・訟務・人権統計年報」2005)
法人税申告件数:約278万件(国税庁報道発表 H18事務年度)
雇用保険適用事業所:約201万事業所 (厚生労働省「雇用保険事業年報」2006年)
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実態がよくわかりませんね。社会保険庁もわからないはずです。
これは、社会保険庁の怠慢と制度上の問題だと私は思います。
法人を設立するためには法務局に設立登記をしなければなりません。
そして税務署・都県税事務所・市区町村に法人設立届出をしなければなりません。
この届出をしなくても、税務署からは設立の届出を促す郵便物が届きます。
なぜ会社を設立したことがわかるのか。それは、税務署職員が法務局で新規設立会社を閲覧しデータを入手しているからだと言われています。
まずここで、税務署と社会保険庁の姿勢の違いがわかります。
制度上の問題とは、縦割り行政の弊害です。
上述したとおり、各省庁によってそれぞれがデータを管理しています。
法務局で会社の設立登記をすれば、このデータを必要な省庁が同時に入手できるシステムにしておけばよいと思うのですが、縦割り行政なのでできないのでしょう。
国民背番号制ならぬ法人背番号制を導入して一元管理すればよいと思うのですが・・・
旧厚生省管轄の社会保険と旧労働省管轄の雇用保険が、厚生労働省となったことにより、ようやく雇用保険加入事業所のデータを社会保険庁も入手できるようになったみたいですね。それで今回未加入10万事業所が判明したのでしょう。
では、雇用保険にも加入していない法人を社会保険庁は把握できるのでしょうか?
法務局や税務署からデータを入手しないと難しいでしょうね。入手しても上述したとおり数が膨大ですから、調査しきれないでしょう。
私は顧問先に、法人を設立すると社会保険にも加入する義務があることを話しますが、強くは言えません。社会保険庁の失態を見ていれば当然ですよね。
*税理士法人赤坂合同会計事務所のHPはこちら
http://akasakakaikei.jp/
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